省エネリフォームや断熱リフォームなどを検討する際、「補助金が使えるのか分からない」「どの助成金制度が自分に合っているのか知りたい」と悩む人は多いでしょう。特に2025年は「住宅省エネ2025キャンペーン」をはじめとする複数の補助制度が登場し、子育て世帯や省エネ改修を対象とした支援が充実しています。
当記事では、2025年に活用できる主要なリフォーム補助金について、各制度の補助対象住宅・補助対象工事などの条件から補助額上限、申請の流れまでを詳しく解説します。リフォーム計画に合う支援策を見つけるために、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1. 2025年に注目したい4つのリフォーム関連補助金事業
2025年に自宅のリフォームを検討している人に注目してほしいのが、「住宅省エネ2025キャンペーン」です。このキャンペーンでは、家庭部門の省エネ化を目的として、国土交通省・経済産業省・環境省が連携し、4つの補助金事業が実施されています。いずれもリフォーム住宅に対する費用補助を受けられる制度です。
- 子育てグリーン住宅支援事業
- 先進的窓リノベ2025事業
- 給湯省エネ2025事業
- 賃貸集合給湯省エネ2025事業
中でも、省エネ効果の高い開口部の断熱化や給湯器の高効率化など、実用性の高い工事が対象となっています。特定の新築住宅を除き、リフォームについては子育て世帯に限らず全世帯が補助金対象になるのも特徴です。
1-1. 申請から交付までの流れ
住宅省エネ2025キャンペーンで補助金を受けるには、工事発注者(施主)ではなく、施工を担当する「住宅省エネ支援事業者」が手続きを行う必要があります。まず、リフォーム業者などの事業者は所定の登録を行ってから発注者と契約を締結して工事を実施し、工事完了・引渡し後に交付申請を行います。
交付申請はそれぞれの補助事業事務局に対して行いますが、ワンストップ申請も可能です。補助金は交付決定後、通常1~2か月で施工業者に支払われ、最終的に発注者に還元されます。還元方法は、工事代金の一部に充当されるか、現金で返金されるかのいずれかです。
2. 【2025年のリフォーム対象補助金】子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、国土交通省が実施する補助金制度で、2050年カーボンニュートラルの実現を見据えた取り組みの1つです。主に物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯などを対象に、新築住宅の省エネ性能向上や既存住宅の省エネ改修を支援します。2025年は2024年度補正予算として400億円が計上されており、省エネ住宅の普及促進と負担軽減の両立を図っています。
2-1. 補助対象
子育てグリーン住宅支援事業では、補助を受けるために一定の条件を満たす必要があります。対象となる人や住宅、リフォーム工事の内容については、以下の通りです。
対象者 |
以下すべてに該当する人
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対象住宅 | 建築から1年以上経過、または過去に居住実績のある既存住宅(現に居住中も可) |
必須工事 |
以下のうち2つ以上を実施する必要あり(1種類だけでは不可)
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任意工事 |
必須工事2つ以上を実施していれば併用可能
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対象期間 | 着工期間:2024年11月22日~交付申請まで(遅くとも2025年12月31日) |
2-2. 補助金額
リフォーム内容に応じて受け取れる補助金額には上限が設けられており、実施する工事の内容によって「Sタイプ」と「Aタイプ」に分かれています。
タイプ | 実施内容 | 補助上限額(1戸あたり) |
---|---|---|
Sタイプ | 必須工事すべてを実施した場合 | 最大60万円 |
Aタイプ | 必須工事のうち2つを実施した場合 | 最大40万円 |
補助金を申請するには、必須工事のうち2種類以上を実施している必要があります。1種類のみの工事では補助対象にならず、また補助額の合計が5万円未満の場合も対象外です。
なお、「先進的窓リノベ2025事業」や「給湯省エネ2025事業」など、他の省エネ事業で交付決定を受けている場合、その工事を本事業の必須工事としてみなすことができます。ただし、他の事業での補助額は合算できないため、本事業単体で5万円以上の補助額となる必要があります。事前に対象工事と補助金額の条件をよく確認しておきましょう。
3. 【2025年のリフォーム対象補助金】先進的窓リノベ2025事業
先進的窓リノベ2025事業は、住宅の断熱性能を高めて省エネ化を早期に実現し、光熱費の削減や住環境の快適性向上を図ることを目的とした補助金制度です。国は本事業を通じて、家庭部門のCO₂排出量を2030年度までに66%削減し、「ウェルビーイング」や経済成長の実現も目指しています。先進的な断熱窓の普及を促進し、その価格低減や関連産業の競争力強化にもつなげる取り組みです。2024年度補正予算では1,350億円が確保されています。
3-1. 補助対象
先進的窓リノベ2025事業では、リフォームの対象や申請者に関していくつかの条件があります。
対象者 |
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対象住宅 |
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対象工事 |
以下の開口部の断熱改修
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対象期間 | 着工期間:2024年11月22日以降に対象工事に着手したもの |
補助の対象となる住宅は、人の居住を目的とした建物に限られます。不動産登記や固定資産税の区分で「住宅」として扱われていない建物や、住宅を店舗や事務所として使用されている場合、その部分の窓は原則として補助対象外です。また、過去の同事業で補助金を受け取った窓について再度申請することもできません。
3-2. 補助金額
先進的窓リノベ2025事業では、設置する断熱窓やドアの性能やサイズ、住宅の構造に応じて、製品ごとに定められた金額が補助されます。高性能な製品ほど補助額が高くなる傾向にあり、最大で200万円まで補助を受けることが可能です。
補助対象製品 | 断熱性能の基準を満たす登録済みの窓・ドア製品 |
---|---|
上限額 | 最大200万円/戸 |
補助を受けるには、対象製品として登録された断熱窓・ドアを使用することが前提です。また、交付申請は補助額の合計が5万円以上でなければ行えないため、製品選定の際は注意が必要です。
4. 【2025年のリフォーム対象補助金】給湯省エネ2025事業
給湯省エネ2025事業は、家庭のエネルギー使用において大きな割合を占める給湯分野において、高効率な給湯器の導入を支援する補助金制度です。家庭全体の省エネルギー化を促進し、政府が掲げる「2030年度のエネルギー需給見通し」の実現に貢献することを目的としています。2024年度補正予算として580億円が確保されており、そのうち32億円は電気温水器や電気蓄熱暖房機の撤去に対する補助に充てられる予定です。
4-1. 補助対象
給湯省エネ2025事業では、高効率給湯器の設置を対象に、戸建・共同住宅を問わず幅広い住宅区分が補助対象となります。申請区分や住宅の取得・施工状況によって、補助対象者が異なるため、以下の表で自分のケースを確認しましょう。
対象住宅・対象者 |
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対象期間 | 着工期間:2024年11月22日以降 |
既存住宅のリフォームにおいては、買取再販事業者による申請は対象外となります。また、施主が給湯器を購入して施工業者に取り付けを依頼する「施主支給」や、機器購入と施工を分離する「材工分離工事」も補助対象外です。
既存住宅の購入に関しては、「給湯器の交換」が売買契約に明記されている場合、補助対象です。未使用の給湯器が設置された状態で購入した住宅については、交換が伴わないため対象外となります。
また、すべての申請において「J-クレジット制度」への参加意思表示が必要です。過去に給湯省エネ2024事業で補助金の交付を受けた住宅や工事については、今回の補助対象から除外されます。
4-2. 補助金額
給湯省エネ2025事業では、導入する高効率給湯器の種類や性能、既存機器の撤去工事の有無に応じて、補助金が段階的に支給されます。基本額に加え、性能や撤去条件に応じた加算措置が用意されており、補助額の合計が最終的な支給額となります。
補助区分 | 補助内容 | 補助額 |
---|---|---|
(1)基本額 | 高効率給湯器の設置 |
エコキュート:6万円/台 ハイブリッド給湯機:8万円/台 エネファーム:16万円/台 |
(2)性能加算額 | 要件を満たす場合に加算 |
エコキュート:最大7万円/台 ハイブリッド給湯機:最大7万円/台 エネファーム:4万円/台 |
(3)撤去加算額 | 対象設備の撤去を伴う場合に加算 |
電気蓄熱暖房機:8万円/台 電気温水器:4万円/台 |
補助の対象機器は、給湯器ごとに所定の性能要件を満たしている必要があります。性能加算の加算額は、給湯器の種類や条件により異なります。なお、補助申請は基本額のみの申請も可能ですが、性能加算や撤去加算を希望する場合は同時申請が必須です。
また、撤去加算額については予算上限の32億円に達し次第、受付終了となります。2024年11月22日以降に実施された撤去工事が対象になりますが、エコキュートの撤去は対象外です。さらに、子育てグリーン住宅支援事業で同一給湯器に対する補助を受ける場合、撤去加算は併用不可です。
5. 【2025年のリフォーム対象補助金】賃貸集合給湯省エネ2025事業
賃貸集合給湯省エネ2025事業は、家庭におけるエネルギー消費の中で大きな比重を占める給湯分野において、賃貸集合住宅への小型省エネ型給湯器の導入を促進する補助制度です。省エネ性能の高い機器の普及拡大を図り、2030年度に向けたエネルギー需給の見通しの達成に貢献することを目的としています。2024年度補正予算では50億円が計上されています。
5-1. 補助対象
賃貸集合給湯省エネ2025事業では、既存の賃貸集合住宅に設置された従来型給湯器を、小型の省エネ型給湯器(エコジョーズまたはエコフィール)へ交換する工事が補助対象です。対象住宅や申請対象者には、以下のような条件があります。
対象者 |
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対象住宅 |
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5-2. 補助金額
補助は、設置機器に応じた「基本額」と、特定の排水工事を行った場合の「加算額」で構成されており、それぞれの要件を満たすことで支給額が決定します。
基本額 | |
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追い焚き機能 | 補助額(定額) |
なし | 5万円/台 |
あり | 7万円/台 |
加算額 | ||
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追い焚き機能 | 加算対象工事 | 加算額(定額) |
なし | 共用廊下を横断するドレン排水ガイド敷設工事 | 3万円/台 |
あり | 浴室へのドレン水排水工事 | 3万円/台 |
補助対象となる給湯器は、性能要件を満たした製品に限られます。また、加算額は追い焚き機能の有無によって対象となる工事が異なります。排水処理の取り扱いは自治体によって異なるため、各自治体の方針に従って適切な施工を行う必要があります。申請前には、対象製品・工事内容・設置条件をよく確認し、適切な工事計画を立てましょう。
6. 国の補助金だけではない!リフォームに活用できる地方自治体の補助金事業
リフォームに活用できる補助金は、国の制度だけではありません。自治体ごとに独自の補助制度も用意されており、地域に応じた支援を受けられる場合があります。以下では、和泉市の具体的な事例を紹介します。
6-1. 和泉市南部地域等移住定住支援補助金
和泉市では、若年・子育て世帯を対象に、南部地域への移住・定住を支援する補助金制度を設けています。対象地域での新築取得またはリフォームに最大100万円、移住時の支援として30万円、子ども1人あたり25万円の加算が受けられます。
補助対象となるには、対象地域への移住や居住継続の意思、地域活動への参加など複数の要件を満たす必要があります。住民登録後6か月以内が申請期限となっているため、移住の計画がある人は早めの確認と準備を心がけるとよいでしょう。
6-2. 和泉市結婚新生活支援補助金
和泉市では、結婚を機に新生活を始める新婚世帯を対象に、住宅取得・賃貸・リフォーム費用の一部を補助する制度を実施しています。補助上限額は、夫婦とも29歳以下の場合で最大60万円、それ以外は最大30万円です。
2025年1月1日~2026年3月31日までに婚姻届を提出・受理された夫婦が対象となり、年齢・所得・市内在住・親族の居住・市税の納付など、複数の要件を満たす必要があります。申請受付は2025年4月1日から先着順で、対象経費の支払い期間やリフォーム内容にも制限があるため、詳細を事前に確認した上で早めの手続きをおすすめします。
7. 2025年に利用できる!リフォーム関連の減税制度
リフォームを行う際は、補助金だけでなく税制面での優遇制度も活用できます。ここでは、2025年に利用できる主な減税制度について、種類や適用条件を分かりやすく紹介します。
7-1. 住宅ローン減税(所得税)
住宅ローン減税(所得税)は、10年以上の返済期間がある住宅ローンを利用して一定のリフォームを行った場合、ローン残高の0.7%が所得税から最大10年間控除される制度です。対象となるのは、増築や改築、大規模修繕、バリアフリー・断熱・耐震改修などの幅広い工事で、工事費用が100万円(税込)を超えることが条件です。
住宅ローン減税の適用には「リフォーム後の床面積が50平方メートル以上」「所有者自身が居住」「合計所得金額が2,000万円以下」などの要件を満たす必要があります。また、リフォーム完了から6か月以内に居住しなければならず、確定申告による申請も必要です。
7-2. リフォーム促進税制(所得税)
リフォーム促進税制(所得税)は、一定の改修工事を行った際に、標準的な工事費用の10%相当額が所得税から控除される制度です。耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居対応・長期優良住宅化・子育て対応のいずれか実施することが前提です。
最大控除額は工事内容により異なり、60万円・62.5万円・75万円のいずれかです。必須工事の限度額を超えた分や、その他のリフォームについても、上限内で5%の控除が適用されます。申請にはさまざまな要件を満たす必要があり、原則として確定申告を通じて手続きします。
7-3. リフォーム促進税制(固定資産税)
リフォーム促進税制(固定資産税)は、一定の条件を満たすリフォームを行った住宅に対して、翌年度分の固定資産税が減額される制度です。工事の種類に応じて減額割合が異なり、耐震改修では税額の2分の1、バリアフリーや省エネ改修では3分の1が1年間減額されます。
さらに、耐震または省エネ改修とともに長期優良住宅化リフォームを行った場合は、固定資産税の3分の2が1年間減額される特例もあります。リフォームは一定の性能基準を満たすことが求められ、施工後は市区町村への申請が必要です。
まとめ
2025年は、リフォームを後押しする複数の補助金制度や税制優遇措置が用意されており、内容や対象も多岐にわたります。「住宅省エネ2025キャンペーン」を軸にした国の支援制度に加えて、自治体による地域独自の補助金制度も存在し、各種制度を組み合わせることでより多くのメリットを得られます。
ただし、対象工事や申請手続きにはそれぞれ条件があるため、着工前にしっかりと制度内容を確認することが大切です。補助金や減税を上手に活用し、費用を抑えながら理想の住まいづくりを実現しましょう。


