鉄筋コンクリート造の建物は地震に強い?注意点や耐震性能の高め方

地震大国である日本において、建物の耐震性能は住まいや不動産選びの判断基準となります。中でも、鉄筋コンクリート造(RC造)は「地震に強い構造」として広く知られています。RC造は、コンクリートと鉄筋という異なる特性を持つ材料を組み合わせることで、地震時に発生する複雑な力に対応できる構造です。

一方で、RC造であっても、建物の形状や建築年代、構造計画によっては大きな被害を受ける可能性があります。当記事では、RC造が地震に強いとされる理由を構造的な観点から整理し、耐震性能を高める方法についても解説します。

 

1. 鉄筋コンクリート造(RC造)の建物が地震に強いとされる理由

鉄筋コンクリート造(RC造)は、木造や鉄骨造と比べて地震に強い構造とされています。これは、コンクリートと鉄筋という性質の異なる材料を組み合わせることで、地震時に建物へ加わるさまざまな力に対応しやすいためです。

ここでは、RC造が地震に強いとされる主な理由を、構造的な観点から解説します。

 

1-1. 圧縮力に強いコンクリートと引張力に強い鉄筋を組み合わせている

RC造が地震に強い最大の理由は、圧縮力に強いコンクリートと、引張力に強い鉄筋を一体化している点です。地震時には、建物に縦方向の揺れによる圧縮力と、横方向の揺れによる引張力や曲げの力が同時に加わります。コンクリートは押される力に強く、鉄筋は引っ張られる力に強いため、単一の材料では対応しにくい力を相互に補えます。

また、適切な配筋を行うことで、脆性的な破壊を防ぎ、粘り強く変形しながら耐える「靱性」を確保できる点も特徴です。

 

1-2. 劣化しにくく長期的に安定した強度を保ちやすい

RC造は、経年による性能低下が比較的緩やかで、長期にわたり安定した強度を保ちやすい点も地震に強い理由です。鉄筋はコンクリートに包まれることで空気や水に触れにくく、適切な施工と維持管理が行われていれば錆びにくい環境に置かれます。また、木造のように腐朽やシロアリ被害を受ける心配もありません。

強度を長く維持しやすいことは、大地震が起きた際にも設計時の耐震性能を発揮しやすいという特徴につながります。

 

1-3. 二次災害として火災が起きたときも焼け残りやすい

地震後は、建物の倒壊だけでなく火災による被害も大きな問題となります。RC造は耐火性が高く、二次災害としての火災に対しても有利な構造です。

一般に、コンクリートは高温にさらされても急激に強度を失いにくく、短時間の火災であれば構造体が残りやすいとされています。これにより、火災による倒壊リスクを抑え、避難や消火活動の安全性を確保しやすくなります。地震と火災が同時に発生する状況を想定した場合でも、RC造は総合的な安全性を確保しやすい構造と言えるでしょう。

 

2. 「鉄筋コンクリート造だから大丈夫」なわけではない点に注意

鉄筋コンクリート造(RC造)は地震に強いとされますが、阪神・淡路大震災や熊本地震では、構造や条件によって被害の差が生じました。耐震性は構造形式や建築年代、地盤条件など複数の要因で左右されます。ここでは、鉄筋コンクリート造の中でも不安要素のある建物について解説します。

 

2-1. ピロティ構造の建物は地震被害が大きくなりやすい

ピロティ構造とは、1階部分を柱だけで支え、壁を設けない形式の建物を指します。1階が駐車場や店舗として使われるケースが多く、上階に比べて耐力壁が少ない点が特徴です。この構造では、地震時に建物全体の揺れが1階部分に集中しやすく、柱に過大な力が加わる影響で、層崩壊と呼ばれる深刻な被害につながる恐れがあります。

新耐震基準で建てられた建物であっても、壁量の不足や配置バランスが悪い場合は安全性が低下します。ピロティ構造の建物の場合、耐震補強の必要性を検討しましょう。

 

2-2. 形状が複雑な建物は地震のエネルギーをうまく分散できないことがある

建物の平面形状や立体形状が複雑な場合、地震の力を均等に分散しにくくなります。L字型やコの字型、外壁に凹凸が多い建物では、揺れによる力が一部に集中し、柱や壁が局所的に損傷するリスクが高まります。

RC造は剛性が高い反面、力の逃げ場が偏ると損傷が大きくなる可能性があります。デザイン性を重視した結果、耐力壁の配置が不均衡になると、耐震性能が十分に発揮されません。地震に備える観点では、正方形や長方形に近いシンプルな形状のほうが、安定した挙動を示しやすいとされています。

 

2-3. 旧耐震基準の時代に建てられた建物は耐震性能が低いものが多い

日本の耐震基準は、1981年に大きく改正されています。この改正以前に建てられた建物は旧耐震基準、以後は新耐震基準と呼ばれます。旧耐震基準では、大地震時の倒壊防止に対する考え方が十分でなく、現在の基準と比べて耐震性能が低い建物が多く存在します。

過去の地震被害を見ても、倒壊や大破したRC造建物の多くが旧耐震基準で建てられていました。RC造であっても、設計時の基準が古ければ安全性は限定的です。購入を検討する際は、建築年の確認に加え、耐震診断や耐震改修の実施状況を確認することが、地震リスクを判断する上で欠かせません。

 

3. 鉄筋コンクリート造の建物の耐震性能を高める方法

鉄筋コンクリート造(RC造)はもともと地震に強い構造ですが、設計年代や構造条件によっては、さらなる耐震対策が有効となる場合があります。耐震性能の向上は、建物の倒壊リスクを下げるだけでなく、地震後も継続して使用できる可能性を高めます。

ここでは、既存のRC造建物に対して実施される代表的な耐震補強の方法を解説します。

 

3-1. 耐震壁を増設する

耐震壁を増設する方法は、RC造建物の耐震補強として広く採用されています。耐震壁とは、地震による横方向の揺れに抵抗し、建物全体の変形を抑える役割を持つ壁です。

耐震壁の増設により、地震エネルギーを壁全体で受け止められるようになり、構造の安定性が向上します。一方で、室内空間が狭くなったり、動線に影響が出たりする場合もあるため、配置計画が重要です。耐震診断の結果をもとに、必要な壁量と配置バランスを検討することが、効果的な補強につながります。

 

3-2. 柱を補強する

柱は建物を支える主要な構造部材であり、地震時には大きな力が集中します。柱の補強は、耐力や靱性を高め、地震による破壊を防ぐために有効な方法です。代表的な補強方法には、既存の柱の周囲に鉄筋コンクリートを巻き付けるジャケット工法や、鋼板・繊維シートを用いた補強があります。

特に、ピロティ構造など柱に負担が集中しやすい建物では、柱補強の効果が高いとされています。補強方法の選定は、建物の規模や施工条件に応じて、専門家と相談しながら進めましょう。

 

3-3. 基礎を補強する

基礎は建物全体の荷重を地盤に伝える重要な部分であり、耐震性能を左右する要素です。基礎が弱い場合、地震時に不同沈下や大きな変形が生じ、上部構造に深刻な被害を及ぼす可能性があります。基礎補強では、既存基礎の周囲にコンクリートを追加する方法や、鋼材や繊維材料で補強する方法が用いられます。

また、基礎補強とあわせて地盤改良を行うことで、建物全体の安定性を高められます。RC造は重量が大きいため、基礎と地盤の状態を一体で考えましょう。

 

3-4. 制震・免震構造と組み合わせる

RC造の耐震性をさらに高める方法として、制震構造や免震構造を組み合わせる選択肢があります。

制震構造は、建物内部にダンパーなどの装置を設置し、地震の揺れを吸収・低減する仕組みです。特に中高層建物では、上階の揺れを抑える効果が期待できます。一方、免震構造は、建物と地盤の間に免震装置を設け、地震の揺れが建物に直接伝わりにくくする方法です。揺れそのものを小さくできるため、構造体や内装への被害を抑えやすくなります。

建物の用途や立地条件に応じて、耐震補強と制震・免震を組み合わせることで、より高い安全性を確保できます。

 

まとめ

鉄筋コンクリート造(RC造)は、圧縮力に強いコンクリートと引張力に強い鉄筋を組み合わせた構造により、地震時の多様な力に対応しやすく、耐震性に優れた建物とされています。また、劣化しにくく耐火性が高い点も、地震後の被害を抑えやすい理由の1つです。

ただし、RC造であれば必ず安全というわけではなく、ピロティ構造や複雑な形状の建物、旧耐震基準で建てられた建物では、被害リスクが高まる場合があります。既存のRC造建物については、耐震壁や柱・基礎の補強、制震・免震構造の導入などにより、耐震性能を高めることも可能です。RC造の特性と限界を正しく理解し、適切な対策を講じることが、地震に強い建物選びと安全確保につながります。