長屋とは、1つの建物の中に複数の住戸が連なるように存在する建物で、テラスハウスとも呼ばれます。長屋の各住戸は壁を共有している一方で、玄関や廊下、階段などは独立して存在するなど、共有部分が少ない点が特徴です。そのため、一戸建てと同じような居住感覚で、一戸建てより安く済むことが可能なメリットがあります。ただし、長屋には築年数が古い物件も多く、リノベーションによってより快適な住まいに変えたいと思う方も存在するでしょう。
この記事では長屋のリノベーションにかかる費用の相場や、リノベーション工事の事例、リノベーションのメリットや注意点を解説します。
1.長屋のリノベーションに必要な費用の相場とは
長屋のリノベーションに必要な費用は建物の状態にもよりますが、一般的な相場は約500万~1,500万円です。
工事内容 | 費用相場 |
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大規模な間取り変更を含むフルリノベーション (部屋をつなげて二戸を一戸にするなど) |
約800万~1,500万円 |
耐震補強工事を含むフルリノベーション | 約500万~1,000万円 |
長屋の中古物件は安く入手できるケースも多く、地域によっては購入費用が1,000万円以内に収まる場合もあります。リノベーション費用をくわえたとしても、新築住宅購入よりも安く広い家を手に入れられるケースもあるでしょう。
1-1.断熱・防音工事の費用相場
長屋は築年数が経っている物件が多く、断熱材が入っていないケースが多く見られます。断熱材が入っていないと、家の中が夏は暑く冬は寒い状況になりやすいほか、エアコンの効きが悪く冷暖房代がかさむ傾向があるため、断熱工事を行うのがおすすめです。
長屋の床・壁・天井を含む全面に断熱工事を行う場合の費用相場は、約300万~500万円です。
【断熱工事の費用相場】
工事内容 | 費用相場 |
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全面断熱工事 | 約300万~500万円 |
壁の断熱化 | 約2,000~3万円/1平方m |
床の断熱化 | 約3,000~1万8,000円/1平方m |
天井の断熱化 | 約3,000~1万5,000円/1平方m |
窓の断熱化 | 約5万~15万円/1つ |
高断熱性の屋根材への葺き替え | 約50万~200万円 |
屋根の断熱塗装 | 約3,000~6,000円/1平方m |
また、長屋のリノベーションの際には合わせて防音工事を行うのもおすすめです。長屋のリノベーションにおける防音工事費用の相場は以下の通りとなっています。
【防音工事の費用相場】
工事内容 | 費用相場 |
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フローリングの遮音化 | 約20万~40万円 |
床への防音マット敷設 | 約30万~60万円 |
防音カーペットの敷設 | 約1万~5万円 |
壁内への吸音材設置 | 約10万~30万円 |
換気設備の防音化 | 約3万~5万円 |
窓の防音化 | 約5万~15万円 |
防音工事にはさまざまな種類がありますが、中でも防音カーペットの敷設は比較的手軽な工事内容と言えるでしょう。
1-2.長屋の内装工事の費用相場
長屋を長く住みたい家にするためには、内装工事も重要です。長屋の内装工事の費用相場は施工内容ごとに大きく変わります。工事内容ごとの費用相場は以下の通りです。
【内装工事の費用相場】
工事内容 | 費用相場 |
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クロスの張替え(スタンダードクロス) | 約700~1,000円/1平方m |
クロスの張替え(ハイグレードクロス) | 約1,000~1,500円/1平方m |
フローリングの張替え | 約6万~25万円/6帖 |
キッチンのリノベーション | 約50万~150万円 |
お風呂のリノベーション | 約60万~150万円 |
トイレのリノベーション | 約15万~70万円 |
和室の洋室化 | 約30万~100万円 |
畳・障子・襖などのメンテナンスの手間やバリアフリーの観点などから、長屋の和室を洋室にリノベーションするケースも増えています。洋室に全面リノベーションするケースはもちろん、襖や押し入れなどを部分的にリノベーションする例もあるため、どこまでの範囲を洋室に変更するのか検討することが大切です。
1-3.長屋の外壁・屋根工事の費用相場
外壁や屋根をリノベーションすれば、長屋の劣化した部分を補修できるとともに外観も改善します。長屋の外壁工事の費用相場は約20万~300万円、屋根工事の費用相場は約20万~280万円です。
【外壁・屋根工事の費用相場】
工事内容 | 費用相場 |
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外壁の補修 | 約20万~80万円 |
外壁の塗装 | 約80万~150万円 |
外壁の張り替え | 約150万~300万円 |
屋根の塗装 | 約20万~80万円 |
屋根の重ね葺き(カバー工法) | 約50万~250万円 |
屋根の葺き替え | 約70万~280万円 |
長屋の外壁・屋根のリノベーションは必要に応じて工事内容や施工範囲が大きく変わるため、費用相場は価格帯が広くなっています。外壁工事の場合は張り替え、屋根の場合は葺き替えをする場合、費用が高くなりやすい傾向があります。
2.長屋のリノベーション工事の事例
株式会社ancubeは、中古物件である連棟長屋のテラスハウス(築40年ほど)のリノベーション工事を行いました。
手狭だったリビングを木造で6畳ほど増設し、広々とした庭を一望できる畳コーナーを作るとともに、ワークスペースも設置しました。掃き出し窓の外にはウッドデッキも増設することで、空間の広がりを演出しています。
玄関の土間スペースは拡張してシューズクロークを新設し、既存の階段下を収納スペースとして有効活用できる間取りとなりました。また、電気配線を隠せない場所にはステンレスパイプを、造作洗面台にはTOTOのSK6を採用するなど、レトロであたたかみのある空間づくりにこだわっています。
3.長屋をリノベーションするメリット
長屋のリノベーションには以下のようなメリットがあります。
住戸の面積を広くできる |
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長屋を建て替える場合、元々あった壁よりも内側に新たな壁ができるため、居住空間が若干狭くなる点に注意しなければなりません。リノベーション工事を行えば、居住空間を損なわずに改築できます。 |
建て替えより費用が安くなる |
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長屋を大幅に改修したとしても、すべて解体して新たに新築するケースに比べれば費用を安く抑えられる傾向があります。補修や耐震補強工事が必要な場合でも、多くの場合完全に建て替えるよりは低価格です。 |
共同住宅と比べて法的な規制が緩やかである |
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共用部分がなく各住宅に玄関がある長屋は、共同住宅と比べて建築に関する法的な規制が緩やかな点がメリットです。 共同住宅の場合は特殊建築物に該当するため、避難場所・経路の確保や避難器具の設置などが法律によって厳しく定められています。一方、長屋は特殊建築物に当たらないため、法的な規制が緩和されている特徴があります。 |
4.長屋をリノベーションするときの注意点
長屋をリノベーションするときには、これから紹介する3つのポイントに注意する必要があります。
必ず耐震補強を行う |
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長屋をリノベーションする際には耐震面の補強が欠かせません。築年数が経っている長屋の場合、外見上問題がなくても、柱・床下などの見えない部分に腐食や劣化などが発生しているケースがあります。特に、1981年以前の建物は、現在と異なる旧耐震基準で建てられており、強度が低い可能性があります。築年数が経っている長屋は必ず耐震補強を行いましょう。 |
物件によっては間取りの変更が難しいことがある |
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長屋はいくつかの住宅を合わせて一軒家として建てられているため、隣接する住宅と共有する柱が必ずあることが特徴です。また、天井の梁や世帯同士の間の壁にも手を入れられないケースも存在します。そのため、長屋物件によっては間取りの変更が難しいことに注意する必要があります。 間取りの希望がある場合は、間取りの変更が可能か、どの範囲まで可能かといった情報を事前にリノベーション会社に確認しましょう。 |
断熱・防音工事が必要なケースが多い |
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長屋は築年数が古い建物が多く、現在の断熱基準を満たしていないケースがあります。必要に応じて断熱工事を行えば、より快適に暮らせるでしょう。 また、長屋は壁一枚を隔て住宅が連なるような構造になっており、生活音によるトラブルが発生しやすい欠点があります。リノベーションを行う際に、壁や床、窓の防音工事を行うことで、未然に隣人トラブルを防ぎやすくなります。 |
まとめ
長屋のリノベーションに必要な一般的な費用相場は、500万円~1,500万円です。長屋をリノベーションすると、建て替えより費用が安くなるほか、居住空間を広く取りやすいメリットがあります。また、共同住宅より法規制が緩やかで、設計の自由度が高いため、理想的な住環境にリノベーションしやすいと言えます。
一方で、長屋には築年数が古い物件が多く、耐震補強や断熱工事が必要なケースが多くあります。また、梁・壁・柱の一部を変更できない場合や、生活音によるトラブル回避のため防音工事が必要になることに注意しましょう。
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