屋根リフォームの種類と費用相場は?費用を抑える方法も紹介

屋根は、家を雨風や直射日光から守る重要な部分です。一方で、ダメージを受けやすい箇所でもあるため、定期的な点検やリフォームが必要となります。とはいえ、どのようなタイミングでどのような工事が必要か分からず、お悩みの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、屋根リフォームの種類と費用相場に加え、屋根リフォームが必要なタイミングや、工事費用の抑え方について詳しく解説します。屋根のリフォームを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

 

1.屋根リフォームの種類と費用相場

経年劣化したり、災害によって破損したりした屋根をリフォームするときは、施工内容や範囲、材料の種類などによって費用が異なります。数多くある業者の中から適正価格で施工してくれるところを探すためには、まず屋根リフォームの相場を把握しておくことが大切です。

ここでは屋根リフォームの主な施工内容を4つに分けて、それぞれの特徴と費用相場を紹介します。

 

1-1.塗装

塗装は、主に剥げたり劣化したりした屋根塗装を塗り直す作業です。明らかな劣化が見られなくとも、雨漏りや建物内部の腐食を防ぐためには、定期的に屋根塗装をやり直す必要があります。

屋根の塗装に関する費用相場は、下記の通りです。

費用相場 25万~100万円

費用相場に大きな開きがある理由は、主に施工範囲や使用する塗料の違いにあります。塗装する面積が広かったり、使用する塗料が高機能で耐用年数が長かったりすれば、屋根リフォームの費用も高額化します。

リフォームで新たに屋根を塗装し直すメリットやデメリットは、下記の通りです。

メリット ・外観の美しさを取り戻せる
・屋根の劣化を防ぐ
・建物内部の劣化を防ぐ
・遮熱・断熱の効果を高める
デメリット ・塗料によって耐用年数に差がある
・屋根材の状態によっては塗装以外の工事も必要
・定期的な施工が必要

塗装工事は外観の改善に加えて、屋根や建物内部の劣化防止に役立ちます。機能性の高い塗料を選べば遮熱や断熱により、室内の快適性を向上してくれます。

メリットを得るためには、塗料の選び方に注意が必要です。価格のみで塗料を選ぶと耐用年数・耐久性の面で劣る場合があり、頻繁な施工が必要となる可能性も否めません。

屋根の塗装は、すでに劣化が見られる方や、建築や前回のメンテナンスから10年前後経っている場合におすすめです。

 

1-2.重ね葺き(カバー工法)

重ね葺き(カバー工法)は、現状の屋根にかぶせるように新しく屋根材を取り付ける工法です。主にガルバリウム鋼板やアルミニウムなどの金属屋根を使用します。既存の屋根を残す分、工程を少なくでき、下記の費用相場で施工できます。

費用相場 50万~200万円

費用相場は、施工する屋根の面積と使用する屋根材によって左右されます。たとえば床面積に差がない建物同士でも、屋根の形状が異なれば施工面積が増え、金額に差が生まれます。

重ね葺きの工法を取り入れるメリットとデメリットは、下記の通りです。

メリット ・短期間で施工できる
・費用を節約できる
・遮熱性や断熱性の向上につながる
デメリット ・屋根が重くなる
・屋根の状態で工事の可否が決まる
・施工できない屋根のタイプもある

重ね葺きは古い屋根材の解体作業が発生しない分、廃材処理費はもちろん、工期の短縮によって人件費の節約も期待できます。

屋根材を重ねることで遮熱・断熱が増す一方で、重量が増える点には注意が必要です。加えて、屋根の状態や使用している屋根材によっては、そもそも施工自体ができない可能性もあります。

上記のデメリットも考慮した上で検討するのであれば、屋根の重ね葺きは築20年以上の建物におすすめです。

 

1-3.葺き替え

葺き替えは、既存の屋根材を下地も含めてすべて取り除き、新しく設置する工法です。前述の塗装や重ね葺き(カバー工法)に比べると作業が大規模となるため、葺き替え工事の費用相場は下記の通りです。

費用相場 70万~200万円

費用に大きな開きがある理由は、施工範囲が物件ごとに異なる点にあります。劣化具合が軽度であれば、下地の補修にかかる費用が減り、総額も抑えられます。

屋根の葺き替えを行うメリットとデメリットは、下記の通りです。

メリット ・下地部分も新しいものに取り換えられる
・災害対策につながる
・屋根の種類を問わず施工できる
デメリット ・費用が高額になりやすい
・廃材処理も必要となる
・施工期間が長くなる

一度すべての屋根材を取り除くため、下地の状態を確認できます。劣化が酷ければ補修したり新しいものに交換したりでき、台風や地震への対策につながります。また、新しく設置する工法は、既存の屋根の種類を問わず行える点もメリットです。

一方で作業が多くなる分、費用が高額となったり廃材処理の手間が増えたりします。施工期間も長くなり、場合によっては1か月程度かかります。

葺き替えは、すでに雨漏りなどのトラブルが生じていて補修が必要な場合や、重ね葺きでは対応できない屋根におすすめです。屋根材の交換と同時に断熱材を入れる工事も行うなど、屋根本体のグレードアップを検討している方にも向いています。

 

1-4.部分的な補修・リフォーム

屋根全体を施工せず、補修が必要な部分のみをリフォームする方法もあります。必要な補修のみで済ませられる分、工期と費用を抑えられることがメリットです。

・部分工事の例1

日本瓦を使用している昔ながらの建物の場合、漆喰補修工事が必要です。漆喰は壁の上塗りや目地の補修に加えて、屋根瓦や石材の接着にも使用されています。屋根の漆喰部分にヒビや欠けがあったり瓦にズレが生じていたりするときは、早急に補修しなくてはなりません。

費用相場 約30万円~

漆喰補修工事の費用相場は、上記の通りです。面積や劣化状況によって異なる場合があります。瓦屋根の漆喰は、約15年単位での点検が必要です。雨漏りなど明らかな異常がなくとも、定期的に点検や部分工事を検討しましょう。

・部分工事の例2

スレートなど金属屋根の頂点部分に設置される棟板金も、経年劣化します。棟板金のみを補修する場合、費用相場は下記の通りです。

費用相場 約30万円~

周囲の腐食や劣化、台風による被害などで屋根から外れていたり、破損していたりする場合は棟板金の補修が必要です。自然災害による破損の場合、補修費用に火災保険が利用できる場合もあります。

 

2.屋根リフォームが必要なタイミング

屋根リフォームを行うべきか判断に迷っている方は、下記のチェックポイントを参考に検討しましょう。

屋根のチェックポイント

  • 変色・色あせがある
  • 塗膜が剥がれたり膨らんだりしている
  • 苔・藻・カビなどが発生している
  • 漆喰・棟板金・棟瓦などに破損がある

屋根に触れられる場合は、指で表面をこすって塗料が付着しないか確認する方法もおすすめです。塗料が指に付着する現象はチョーキングと呼ばれており、屋根塗料の寿命が近いことを表しています。

上記の他、屋根材自体に異常が見られることもあります。放置していると雨漏りなどのトラブルに発展するおそれがあるため、早急な対処が必要です。

 

3.屋根リフォームの費用を抑えるには?

屋根リフォームの工事費用は、さまざまな要因によって高額となる場合があります。費用を少しでも抑えるためには、いくつかの工夫を知っておくことが大切です。

ここでは、屋根リフォームの費用を抑える3つの方法を紹介します。

 

3-1.複数業者での見積もりを取る

屋根に限らず、リフォーム工事を依頼するときは、複数の業者で見積もりを取りましょう。施工費用の中には材料費や足場代、人件費などが含まれており、最終的に請求される金額は業者ごとに異なります。

複数業者で見積もりを取ることは、自宅の屋根リフォームの相場を把握するためにも大切です。相場を知った上で複数業者の見積もり結果を見れば、サービス内容とのバランスや金額を比較でき、予算に合った依頼先を見つけられます。

 

3-2.火災保険が適用されるか確認する

保険にはさまざまな特約があり、自宅の補修に活用できる場合もあります。まずは、自分が契約している火災保険の特約や適用条件を確認しましょう。特約を付帯している方は、屋根の破損などが自然災害によって発生したものであれば、補修費用を保険でまかなえます。

自然災害は台風の他、風害や雪害なども該当することが一般的です。また、原則として3年前まで遡って申請できるため、災害発生時から日数が経過している方にも火災保険の活用はおすすめです。

 

3-3.補助金制度について調べる

省エネやバリアフリーなどの効果が期待できるリフォームに対して、国や自治体から補助金や助成金が出る制度もあります。屋根リフォームは遮熱や断熱効果を高めたり耐震性を向上させたりと、制度利用の対象に当てはまる可能性の高い施工内容です。

ただし、経年劣化にともなうトラブルの対処や機能改善を目的とした屋根リフォームの場合、補助金や助成金の対象外となります。一度利用できる補助金や助成金がないか、確認してみましょう。

 

まとめ

屋根リフォームには塗装・重ね葺き・葺き替えなどがあり、それぞれの費用相場・メリット・デメリットを知っておくことが大切です。屋根の異常を放置すると雨漏りなどのトラブルにつながります。可能な範囲で定期的に屋根の状態をチェックし、問題がある場合は早い段階からリフォームを検討しましょう。

屋根リフォームは約20万~200万円と決して安くはありません。費用をできるだけ抑えつつ安全な工事を実施するためには、複数社で見積もりを取る他、保険や補助制度の活用なども検討しましょう。