リノベーションとは、自分のライフスタイルに合わせて建物に新しい価値や機能を追加することです。理想的な住まいを作るには、建物に自分に合ったリノベーションを施す必要があり、その手段としてDIYを選択する方もいます。ただし、DIYの失敗を防ぎ、理想の仕上がりを実現するためには事前にDIYの注意点を知っておくことが大切です。
この記事ではDIYでリノベーションを行う場合のメリットやデメリット、DIY可能な場所やプロに任せるべき場所を解説します。また、DIY初心者に向けて、初心者でも難しくないDIYの例も掲載しています。
1.DIYでリノベーションをする場合のメリット・デメリット
DIYによるリノベーション(セルフリノベーション)とは、業者に依頼せず、自分でリノベーションの一部かすべてを行うことです。DIYでリノベーションを行うのは、理想の家を手に入れるのに有効な方法です。ただし、望んだ通りのリノベーションを行うためにはメリットとデメリットを知っておく必要があります。
1-1.メリット
DIYでリノベーションを行うメリットは以下の通りです。
・費用を抑えられる
セルフリノベーションでは、人件費や設計費などがかかりません。材料も自分で選んで購入できるため、予算の範囲内で費用を抑えたリノベーションが可能です。また、リノベーション時の材料を使って、自分でメンテナンスができる利点もあります。
・リノベーション技術や知識が身につく
手順や実例を調べたり、材料や道具を揃えて実際にDIYを経験したりすることで、リノベーションや家づくりに関する技術と知識が身につきます。雑誌などでも楽しく知識を習得可能です。
・自分のスタイルに合わせて進められる
DIYによるリノベーションは自由度の高さも魅力で、使う素材やデザインなどにこだわり、好みの空間を作りあげることが可能です。また、打合せなどが必要なく、ライフスタイルに合わせて自由に取り組めるメリットもあります。
1-2.デメリット
セルフリノベーションを成功させるために、知っておきたいデメリットも存在します。
・手間と時間がかかる
リノベーションは、通常、数多くの地道な工程を経て進んでいく作業です。素人がいざ取り組もうとすると、予想以上の時間を要する場合があります。家全体に手を加えると、半年〜1年ほどかかる場合もあるため、長期的に作業できる時間と体力が必要です。
・難易度が高い
床や壁の下地工事などは、リノベーション工事の中でも難易度が高い作業です。豊富な専門知識や技術が必要な作業は、失敗する場合も多く、やり直しが必要になるケースもあります。
・質が保証されない
多くのリノベーション事例で見る、綺麗でおしゃれな空間に憧れを抱く方もいるでしょう。しかし、実際は素人には難しい作業も多く、綺麗に仕上がらないケースもあります。
2.DIYができるリノベーションの場所
リノベーションで発生する作業の中には、難易度が高くDIYに適さないものもあります。失敗を防ぎ、理想の仕上がりを実現するためには、セルフリノベーションに適した場所を知っておくことが大切です。では、実際に自分で作業できるリノベーション内容には、どのようなものがあるのでしょうか。
初心者がセルフリノベーションできる場所の具体例4つと、それぞれの作業内容について紹介します。
2-1.壁のDIY
壁紙をDIYで張り替えたり、壁を塗り替えたりすることでリノベーションができます。塗料を選ぶ際には、壁紙の上から塗装できるタイプや、臭いが少ない水性タイプを選びましょう。工具などが揃ったスターターセットを購入すれば、初心者でも比較的簡単に作業できます。
ただし、賃貸物件では壁紙の上に塗料を重ねられないケースが多いため、剥がせるタイプの壁紙を使うのがおすすめです。初心者でも扱いやすい、裏地が不織布の壁紙を選ぶとよいでしょう。壁の色を濃い色から薄い色に変更したい場合にも壁紙が活躍します。
2-2.床のDIY
床をDIYで張り替える際の基本的な手順は、以下の通りです。
- 既存のフローリングを剥がす
- 掃除と採寸を行う
- 断熱材を敷く
- フローリング材を張る
DIYで床を張り替える場合、難易度が高いだけでなく体力を要する長時間の作業が必要です。必要な工具や材料を揃え、手順をしっかり理解しておきましょう。床の張り替えに必要な工具例は、次の通りです。
- ノコギリ
- ハンマー
- 電動ドライバー
- メジャー
- ポンチ
- カッター
また、フローリング材の中には、釘や接着剤を使わずに床の張り替えができるフロアタイルもあります。剥がせるシート状の床材も販売されているため、自分が挑戦できそうなものから試してみるとよいでしょう。
2-3.天井のDIY
初心者に向いた天井のDIYには、クロスを張り替える方法と、塗料を使って塗り替える方法があります。クロスを張り替える方法はより初心者向けで、初めてのセルフリノベーションにもおすすめです。重ね張りできるクロスもあるため、使いやすいタイプを選びましょう。
ペンキなどの塗料で天井を塗り替える場合は、水性塗料や珪藻土塗料を使うのがおすすめです。塗り替え作業にあたっては、塗料の付着を防ぐために壁の隅や電気ソケットのシーリングをテープで保護したり、照明や家具に保護カバーを付けたりしましょう。
2-4.キッチンのDIY
キッチンでは、壁紙や収納といった場所が比較的簡単にDIYできます。気軽にキッチンの雰囲気を変えたい場合は、100均や雑貨屋などで手に入るリメイクシートを壁に使用するのがおすすめです。
さらに、以下のようなキッチン収納を作ることもできます。
- 壁面収納棚
- つっぱり棒収納
- キッチンカウンター
壁面収納棚は壁面に棚受けとなる板を取り付けたもので、簡単にDIYできる人気のキッチン収納です。高さが変更できる棚受けレールを使えば、棚の位置を適宜調節できます。
つっぱり棒収納は壁面に押し当てて取り付けるつっぱり棒を活用した収納で、フックを使って吊り下げ収納として利用できます。
ほかにも、収納ケースと天板を組み合わせ、補強をすることで収納付きのキッチンカウンターが作れます。
3.DIYでリノベーションする場合の注意点
セルフリノベーションを行う上で注意するべき点として、以下の2つが挙げられます。
- 管理規約などでリノベーション可能な内容を確認する
- 事前にリノベーションプランを立てる
持ち家の場合でも、マンションは管理規約によって改修に制限がかかっているケースがあるため、事前にチェックしましょう。賃貸物件では原状回復義務があることがほとんどですが、どの程度のリノベーションが可能なのかをオーナーの方に事前確認すれば、無用なトラブルを防げます。
また、慣れない作業をスムーズに進めるために事前にリノベーションプランを立てましょう。作業内容すべてを書き出した後、必要な材料や工具を洗い出すと、準備漏れを防げます。手順は見やすい形でリスト化しておくと安心です。
上記のほかにも、作業音や廃材の捨て方などで近隣の方に迷惑をかけないといった最低限のマナーを守りましょう。
4.リノベーションを業者にお願いすべき場所
次に該当する場所は、危険が伴う場合もあるため、信頼できる業者にリノベーション作業を依頼しましょう。
- 施工にあたり特別な資格が必要な場所
- セキュリティ対策が必要な場所
- 綺麗に仕上げたい場所
電気やガス、水回りなどのリノベーションは専門的な知識を要するため、DIYが事故につながる危険性があります。特に、電気工事や配管工事は有資格者のみ可能であると法律で定められており、資格がなければDIYは行えません。
参考:e-gov法令検索「電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)」
参考:e-gov法令検索「建設業法(昭和二十四年法律第百号)」
セキュリティ対策が必要な場所も、専門知識を持つ業者に作業を依頼しましょう。玄関や窓などの出入り口となる部分はセルフリノベーションが可能で、外観が一気に変わるメリットがあります。しかし、素人が鍵などの施錠部分を取り付けた場合、簡単に施錠を破られて不法侵入を受ける恐れがあります。専門業者にセキュリティ対策を任せれば、防犯面で安心できるでしょう。
また、プロの業者にリノベーションを依頼すれば、契約した期間内にクオリティの高い作業や工事を提供してもらえるメリットがあります。多くの時間を過ごしたり、来客の目に触れたりする場所の作業は、綺麗に仕上げたいと考える方も多いのではないでしょうか。セルフリノベーションを行う前に、自宅の中でDIYできそうな場所と、業者に依頼したい場所の検討を行うのがおすすめです。
まとめ
リノベーションをDIYで行う場合、工事費用が抑えられ、技術と知識が身につき、自分のスタイルに合った作業が行えるメリットがあります。一方で難易度が高く、手間と時間が掛かるほか、質が保証されないデメリットもあります。
一般的に壁・床・天井・キッチンなどが初心者でもDIYできる場所です。DIYにあたっては管理規約の確認や事前のリノベーションプラン構築、隣人への配慮といった点に注意しましょう。
また、電気やガス・水回りや防犯に関わる部分はプロの業者にリノベーションを依頼する方が望ましいでしょう。リノベーションをDIYで行う場合は、自分が作業できる場所と、業者に任せる場所を検討するのがおすすめです。
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